■間伐材を活用して、森を元気にする
あなたは知っているだろうか?
日本の国土のなんと67%が森林で占められていることを。
実は日本がフィンランドに次ぐ森林大国だということを。
ところが、日本の森林はいま放置状態にある。
戦後に大量に植えられたスギやヒノキ。
木は成長し太くなるタイミングで、間伐が必要だ。
間伐をしないと、混み合った木々は細く質の落ちる木となり、日の光が届かない暗い森は、地面の植物や生き物にも影響を与える。
一方、割箸は、もともと丸い丸太から四角い木材を切り出す際に、どうしても余る端材を有効活用したものだった。
いわばサンドイッチで切り落としたパンの耳を、おやつへと料理したようなもの。
決して、割箸のためにわざわざ木を切り出したりはしていない。
なのに、エコを背景に割箸が木材をムダにしているかのような誤解が広まった。
ワリバシカンパニー株式会社の松本剛さんは言う。
「“割箸は環境に悪い”というのは、心理的な思い込みであって、事実じゃないんです」
事実はこうだ。
間伐は必要な作業であるため、国から補助もあり、年間800万トンが間伐されている。
しかし、間伐された木は採算が合わないことから、400万トンがその場に切り捨てられたままだ。
そして、日本人が1年間に使う割箸は、1985年には国内自給率100%で、約250億膳。
ところが、海外からの安い木材やプラスチック製品に押されて、現在は年間150億膳に減り、国内自給率は5%以下にと激減した。
この2つのデータを数字で結ぶと、100万トンの間伐材だけで、なんと250億膳が製造できるのだという。
つまりすべての割箸を国産にしても、間伐される年800万トンの1/8にしか満たない。
どれだけ割箸を使おうとも、国内消費量だけではまかない切れないのだ。
しかも、輸入材には、数々の不安がつきまとう。
漂白剤や防カビ剤といった薬品の問題。
中国からの輸出制限や価格の変動。
その点、ワリバシカンパニーの割箸は、スッキリした香りさえ感じる無垢の木。
食事がおいしくなることは間違いない。
価格も輸入品と大差ないところにまできた。
それだけではない。
製作過程や使用済み箸から作ったオガコも活用できるのだ。
家畜の寝床となるオガコは、国内の割箸産業がすたれるとともに、わざわざ輸入品を買うしかないほど不足している。
割箸の製造が増えることで、オガコができ、家畜も健康になる。
さらに、使用済みのオガコは畑の肥料として再利用。
有機野菜の栽培にも一役かうことになる。
処理に困るプラスチック箸に比べ、割箸は使用後も実にエコなのだ。
地域活性化は、埋もれていた資源を活かすことでもある。
バラバラだったパズルのピースがあるときピタッと合うように答えが見つかった。
間伐材のうちの100万トンを割箸に活用するだけで手入れが行き届かない森を健全にでき、海外からの輸入材による不安をなくし、オガコを使って家畜も畑も健康になる。
まさに完璧なリサイクルができあがる!
■割箸を使うだけで、障害者も含めた雇用活性化も!
ワリバシカンパニーは、環境ムーブメントの仕掛人、森林再生の請負人、堆肥づくりのスペシャリスト、割箸製造技術の権威と、それぞれの専門家が出会ったことで生まれた。
いわば、クラウド型ソリューションだ。
スタートしたばかりこの活動は、2010年度末までに3カ所のプラントを稼働予定。
数年内に30カ所のプラント立ち上げを目指している。
これにより、障害者も含めた地元の雇用活性化という副産物までプラスされる。
私たち市民も、今日からマイ箸派から割箸派となって応援しよう。
国産の割箸が使われるほど、森が元気になり、家畜も野菜も元気になる。
もっと直接応援したい方には、1口2万5千円で3年間のファンドが用意されている。
地域の特産品など特典もうれしい。
http://www.musicsecurities.com/communityfund/details.php?st=i&fid=149
日本の森や食べ物を元気にできて、地場産業を促す。
割箸は究極のエコ・カトラリーなのだ。
この理想的な循環は、感動的ですらある。
取材・文責:百世瑛衣乎
※この原稿は、2010年9月末時点のものです。
最新情報は、下記の公式サイトでご確認ください。
※社会起業支援サミット2010 in TOKYOは、2010年10月3日開催。
ご予約・お問い合わせは、下記ブログ記事へ。
http://ccc-action.blogspot.com/2010/09/2010-in-tokyo_11.html
予約時に上記へのリンクをtweetされた方には、サミット出演の社会起業家インタビューをまとめたPDFデータをメールで後日、送ります(下記は短縮URL)。
※なお、この記事へのリンクは自由です。
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