2010年9月7日火曜日

■株式会社WAKU-WORK インタビュー


■“楽園”に未だ残る貧困問題

東南アジアに浮かぶ島国、フィリピン。

国内のセブ島やマクタン島はリゾート地としても名高く、「南国の楽園」というイメージを持つ人も多い。

だがその一方で、この国は未だ根強い貧困問題を抱えている。

その中でも特に大きな問題が、ストリートチルドレン。

貧困から学校にも行けず、ゴミ山やスラムで暮らす彼らは、フィリピン全土で300万人以上いると言われている。

この問題を解決すべく、様々なNGOが精力的に活動をしているが、解決への歩みは遅々として進んでいない。


■英会話による雇用拡大が貧困から脱却する希望に

「私たちが活動しているセブ市では、実に450ものNGOが、子どもたちの就学や生活支援のために活動をしています。

にも関わらず、貧困率はここ10年でわずか0.1%しか改善していません。

その一方で、NGOの保護を受けながら大学に通う学生たちには、高い志を持つ優秀な若者が非常に多いのです。

その高いスキルを活かして、若者たちの経済的な自立と、夢の実現を促したい……。

そんな思いから現在のビジネスを立ち上げました」

そう語るのは、株式会社WAKU-WORK代表、山田貴子さん。

WAKU-WORKの事業内容は、Skypeを使ったオンラインでの英会話レッスンだ。

まず、提携しているNGOが支援するフィリピンの大学生をWAKU-WORKで雇用。

彼らは研修を通じて英会話教師としての技術や、ビジネスマナーを学んだうえで、教師として働くことになる。

 雇用の受け皿が生まれることで、大学生のNGOからの自立を促すことができ、またNGO側はその浮いたコストで新たに就学支援をすることができる。

「フィリピンの大学生の学費は1年あたり約5万円。同じ額で、フィリピンの子ども2人を保護し、小学校に通わせることができる計算です」(同前)

 また、NGOの支援を受ける学生たちがWAKU-WORKで英会話講師のプロフェッショナルとして自立していく姿は、現地の子どもたちにとっての希望にもつながるという。

「フィリピンは人口の8割が30歳以下。そのため若者の雇用は極端に少なく、教育を受けても他の島や海外に出稼ぎに行く人が多い。

ですが、WAKU-WORKの活動を通じて、市内に住みながら働く道を示せれば、就学に対するストリートチルドレン達の意欲はもっと高まるはず」(同前)。

 同社で働く大学生は、通常の業務に加えて、毎週土曜日にはフィリピン政府が運営する孤児院で英会話レッスンも行っているという。

レッスンを通じて、彼らの姿を一つの「成功例」として定着させることがねらいだ。


3年以内に200人の雇用を実現する

同社は今後も引き続き事業を継続、今年の6月からは人材育成のノウハウを持つ、株式会社ウィル・シードと提携し、英会話教室の質の向上に一層の力を入れる。

目標は20129月までに、200名の学生を雇用することだ。

 加えて、英会話教師だけではなく、ITや経営など、様々なスキルを身につけるための職業訓練所も今年度中に設立予定だという。

「現地の企業と提携し、島内の雇用を拡大することで、若者たちの道を共に切り開きたい」(同前)。

現在はサンフランシスコにある職業訓練センターや、イギリスNGOからノウハウを学びながら、設立に向けて動き始めたところ。

「フィリピンの新規事業に興味があり、協力をしてくださる方が居ると嬉しい」(同前)。

「英会話」という現地の人が持つスキルを活かし、ビジネスを通じてフィリピンの若者たちに夢と自立を届けるべく奮闘する山田さん。

南国の島が本当の“楽園”になるその日はそう遠くないかもしれない。



※この原稿は、20109月末時点のものです。

最新情報は、下記の公式サイトでご確認ください。

http://www.wakuwork.jp/ww/HOME.html

※社会起業支援サミット2010 in TOKYOは、2010103日開催。

ご予約・お問い合わせは、下記ブログ記事へ。

http://ccc-action.blogspot.com/2010/09/2010-in-tokyo_11.html

予約時に上記へのリンクをtweetされた方には、サミット出演の社会起業家インタビューをまとめたPDFデータをメールで後日、送ります(下記は短縮URL)。

http://ben7.jp/aace

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