2010年8月26日木曜日

■SHOKAYインタビュー


■伝統的な文化を活かして、安定収入を

SHOKAY(ショーケイ)は、チベット族が飼うヤクという動物の毛をフェアトレードし、美しいニット製品として販売するソーシャル・ビジネスブランドだ。

中国の西に位置するチベットは、もともと遊牧民の国。移動式のゲルで暮らす彼らには、経済的な価値はともあれ、心豊かな文化があった。

しかし、中国からの支配や進行する環境破壊などから、伝統的な生活だけでは立ち行かなくなって来た。現金収入を求めて都市へ出稼ぎに出るようになり、伝統的なライフスタイルは崩れていき、他に現金を得る手だてがなく、放牧をやめる人も増え、貧困に沈んでいった。

収入を得たら、何を買いたいかという問いには、「子どもを学校へ行かせたい」「病気の家族を医者に診せたい」「家族に好きなものをおなかいっぱい食べさせたい」そんなささやかな、家族思いの願いが連なる。

まだ20代の若い中国人女性マリーとキャロルは、ハーバード大学大学院で知り合い、ソーシャル・ビジネスを自分たちの国、中国で活かそうとした。

ブランド名となったSHOKAYとは、「ヤクの柔らかい毛」を意味するチベット語だ。

カシミアにも匹敵するその品質は、これまで不当に安く買いたたかれていた。これを貴重な資産として製品化するまでは困難の連続だった。

珍しい繊維であるヤクの毛を紡績してくれる工場を探すのも至難の課題だった。

工場長にあからさまに居留守を使われたり、何時間もバスに揺られてたどり着くと、わざと定休日に呼び出されたり…。20代の若い女性に対する不信感は相当なものだった。

しかし、バイタリティあふれる二人は、そういった一つひとつを、チャレンジ精神と行動力で克服していった。

ヤクの専門家を訪ねて商品価値を高める技術を聞き出し、チベット族によそ者扱いされ口もきいてくれない状態から、信頼を得て安定供給できる共同組合を組織。

デザインをネットで公募し、技術力の高いニッターチームを作り、200612月に3本の機械編みマフラーを展示会に出すところからスタート。今では日本、フランス、アメリカをはじめ世界12ヵ国に販売展開する。

ヤクの毛を供給するチベット族の協同組合は、2007年3000人だったが、現在は30000人以上になり約10倍となった。

この数字は、そのまま経済的な自立と生活が自由になった家族の数に匹敵する。さらにSHOKAYは、このシステムをチベット高原全体へ広げていきたいと考えている。

■まずグッド・プロダクト。そしてグッド・ストーリー

SHOKAYの商品は、かわいそうだから買うのではなく、その品質とデザインで評価されるものでありたいと考えている。

まずグッド・プロダクトがあり、その背景にグッド・ストーリーがある。

一度手に取れば、その柔らかさや手ざわりを感じるはず。

大地のカラーに、モダンなデザイン。

ぜひSHOKAYの商品を、あなたの生活に取り入れてほしい。

チベット族への寄付ではなく、本当にいいものだと気に入った代金が届くことで、チベット族の人々に自信と自尊心を届けられる。それが、良い循環を作ることになる。

そして、あなたの手元にベビーヤクのぬいぐるみが届いたら、グッド・アクションを起こして、ネットに報告してほしい。

http://shokay.jp/goodaction/

マリーとキャロルのソーシャル・ビジネスは、次々と広がりを見せている。

香港では一人暮らしのお年寄りや老人ホームのための編み物のイベントやワークショップを、上海ではオーガニックなレストランやショップのオーナーたちと一緒にロハスコミュニティを作った。女性ならではのしなやかな感性とアイデアだ。

マリーは、2007年に『ニューズウィーク』誌の「世界を変える100人の社会起業家」にムハマド・ユヌス氏らとともに選ばれた。あどけない笑顔の二人の若い女性は、チャレンジ精神と行動力で今日も世界に新しい風を吹き込んでいる。

取材・文責:百世瑛衣乎

参考:『世界を変えるオシゴト 社会起業家になったふたりの女の子の感動物語』

(マリー・ソー&キャロル・チャウ著/林路美代&林民子・監訳/講談社BIZ)


※この原稿は、20109月末時点のものです。

最新情報は、下記の公式サイトでご確認ください。

http://shokay.jp/index.html

※社会起業支援サミット2010 in TOKYOは、2010103日開催。

ご予約・お問い合わせは、下記ブログ記事へ。

http://ccc-action.blogspot.com/2010/09/2010-in-tokyo_11.html

予約時に上記へのリンクをtweetされた方には、サミット出演の社会起業家インタビューをまとめたPDFデータをメールで後日、送ります(下記は短縮URL)。

http://ben7.jp/aace

※なお、この記事へのリンクは自由です。

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