2010年8月30日月曜日

ノリダン紹介記事


■廃材を楽器に変え、演奏旅行で楽しい人生を!

韓国では、「社会的企業育成法」という法律が2006年末に議会を通り、20077月から施行されている。

その法律で定義されている「社会的企業」(社会起業家)とは、次のとおりだ。

社会的企業”とは、脆弱階層に社会サービス又は就労を提供し、地域住民の生活の質を高めるなどの社会的目的を追求しながら、財貨及びサービスの生産販売など営業活動を遂行する企業として第7条(社会的企業の認証)によって認証を受けた者

「脆弱階層」とは、日本語で平たく言えば、「社会的弱者」ということになるだろう。

2004年6月に創立されたnoridanは、韓国で上記の法律によって支援されている社会的企業の一つで、さまざまな事情で失業している若者たちに生きがいと仕事を提供している。

先進国の若者にも、精神病、低学歴、ひきこもり、知的障害、発達障害、非行などの事情を抱えて仕事に就けない人は少なくない。

しかし、そうした低学歴=低資産層の切実な問題に対して、積極的に解決に立ち上がる人は、偏差値の高い大学出身者などの高学歴層にはこれまでほとんどいなかった。

Noridanは、ソウル市が運営する青少年育成のためのインキュベーション(企業支援)の施設「ハジャセンター」がヨンセ大学とコラボしたプロジェクトの一つとして立ち上がった。

当初は、他の就労支援プロジェクトを後援する活動としての位置づけだったが、路上での派手な音楽パフォーマンスに若者たちを参加させるスタイルが話題となり、活動を続ける中で中心的なプロジェクトに育っていったという。

ハジャセンターが集めたプロジェクトメンバーは、noridan創設以来、10人に満たないが、中でもテレビ・ドキュメンタリーのディレクター経験のあるキム・ジョンヒが中心となり、オーストラリアの大道芸をヒントに、配管などの廃材から打楽器を作っては若者たちに演奏を練習させた。

その訓練の結果、みんなで安定したリズムを取れるようになると、演奏パフォーマンスを売り出し、シンガポール、イギリスなどで、海外公演を続々と成功させていった。

その様子は、Youtubeの動画にもたくさんアップされているので、閲覧されたい。


■収益源を増やし、海外に進出し、社員として拡大

日本でも20094月に渋谷~表参道~原宿をnoridanの若者たちが演奏しながら練り歩くパフォーマンスが行われ、話題になった。

これは、国際交流基金や日本財団などがスポンサーになって実現したものである。

その時のツアーのキャッチコピーは、「Recycle your life!」(自分の才能や時間を蘇生させよう)だった。

Noridanという言葉自体、「ノリ」(遊び)+「ダン」(団体)という意味だ。

「遊び」という言葉の中にもっと人生を楽しく愉快なものにできるという思いを読み取ることができるだろう。

演奏している若者は社員としてnoridanに雇われており、月給で13万円程度が支給されている。そうした社員が既に80人以上もいて、演奏ツアーに参加したり、廃材から楽器を作るワークショップを企業研修として行ったり、公園にオリジナルの楽器を設置する工事を行うなどして、団体の収益源を作っている。

Noridanでは、全員にあだ名があり、前述のキム氏も「フィー」の愛称で呼ばれている。

これは、上下関係に厳しい儒教社会の韓国では極めて異例であり、noridanが独自のルールで運営されている特異なコミュニティであることがわかる。

これは、ファミリー感覚、一体感といったものを担保するために、キム氏が考案したコミュニケーション・スタイルであるらしい。

以上の話は、今年5月に2人の仲間とnoridanで研修を受け、これから東京でnoridanの活動を始める予定の榎本尉孝氏(27歳)から伺ったものである。

榎本氏は、言う。

「僕は高校時代に吹奏楽をやっていて、演奏活動自体はガチで体育会系でした。それだけみんなで息を合わせないと、聞かせられるような演奏はできません。そういう経験があったので、noridanの演奏を見て、息を合わせることの大事さに改めて気づいた次第です」

Noridanは、東京や上海への進出を考えているそうで、演奏楽曲もプロの作曲家がつくっている。

既に韓国でも人気のnoridanは、新規団員募集をする際も6倍の競争率になっているという。

文責:今一生



※この原稿は、20109月末時点のものです。

最新情報は、下記の公式サイトでご確認ください。

http://blog.goo.ne.jp/tokyo_noridan

※社会起業支援サミット2010 in TOKYOは、2010103日開催。

ご予約・お問い合わせは、下記ブログ記事へ。

http://ccc-action.blogspot.com/2010/09/2010-in-tokyo_11.html

予約時に上記へのリンクをtweetされた方には、サミット出演の社会起業家インタビューをまとめたPDFデータをメールで後日、送ります(下記は短縮URL)。

http://ben7.jp/aace

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